空き家の現状|社会問題としての空き家の実態について学ぶ

空き家問題 空き家の現状

日本における空き家の現状は、全国的な社会課題として非常に深刻な状況にあるのはご承知のとおりです。それでは、それぞれのポイント別に整理してみました。

空き家の数と率

2023年10月時点で、空き家は約9,000,000戸(全住宅の13.8%)となり、過去最大を記録しました。

前回の2018年(約8,490,000戸/13.6%)からさらに51万戸増加しており、空き家率は2013年から横ばいながらも緩やかに上昇傾向です。

空き家の種類と内訳

「賃貸用」:約4,433,000戸(増加傾向)
「売却用」:約327,000戸
「二次的住宅」(別荘等):約383,000戸

残る「その他の空き家」(賃貸・売却・二次を除く実家等):約3,853,000戸で、全体の42.8%を占めています。

この「その他」は、高齢者の死亡や転居後の実家がそのまま放置されるケースが中心で、最も管理不全のリスクが高いカテゴリーです。

増加の背景

急増する住宅着工:2024年には年間約820,000戸着工の一方で、解体は約104,000戸にとどまり、新築過多の構造が空き家の増加を招いています。

少子高齢化・人口減少:2004年以降、人口は減少傾向。2024年10月現在で約12,379万人と前年から56万人減。

中古住宅の不人気:日本では中古住宅市場の割合が14.5%と低く、売り手が買い手を見つけられないという状況が続いています。

相続・共有登記の課題:2024年4月の相続登記義務化以前は、所有者不明の空き家が増加し、放置の温床となっていました。

地域差と将来推移

空き家率は全国的に13%台で横ばいですが、徳島・和歌山・山梨などは21%台と突出し、東京・神奈川・埼玉などでも増加傾向にあります。

野村総合研究所は、2040年代には空き家率が25%に達し、空き家戸数も倍増の1,860万戸程度に増える可能性を指摘しています。

社会的影響と国の施策

空き家の問題

放置空き家のリスク:倒壊・火災・不法投棄・防犯・景観悪化など、地域社会に多大な悪影響を及ぼします。

法整備と対応:2014年施行の「空家等対策特別措置法」により、特定空き家に対する市町村の調査・指導・除却代執行が可能に。2023年法改正で「管理不全空家」区分を導入、固定資産税優遇措置の剥奪などによる改善インセンティブを強化。2024年4月から、相続登記の義務化で所有者の明確化と管理責任が進みました 。

自治体・民間の取り組み:空き家バンク、管理・除却支援助成、空家等活用促進地域の指定などが進展中です。

まとめ

日本の空き家は2023年時点で約900万戸(全体の13.8%)、そのうち管理が不十分な住宅が約385万戸に上ります。今後も増加が見込まれる中で、法整備、防止・活用策、市町村・民間の連携が不可欠です。実家や持ち家の将来にご関心がある方は、できるだけ早めに行政や専門家への相談をお勧めします。